魂の鮮度

魂には鮮度がある。変化し続ける魂を真空パックするためには、文字にするしかない。

浮かんでくる風景、イメージ、香り。前頭前野を突き動かすビート。鼓動する心臓と息、貧乏ゆすり。リズム。今という時間。

その全てが、文字となって現れる。具現化する、される。自分が言ったことで塗り固められ、乗り越えられる。自己から抜け出すための、詩、ラップ。

書く。思い出してかく。でもある一定のラインを過ぎると、一切書けなくなる。生々しさが失われる。イメージが過去になる。全てが置き去りにされ、全ての意味においての古典と化す。

そうなる前に残さねばならない。二十代前半を残さねばならない。身体が順応していく。賃労働に。円滑なコミュニケーション、とやらに。煌めきとめまいが消えるまえに。自分の中のリズムが転調する前に。

いまが、その瀬戸際。残さねばならない。最後の、ひとしぼり。

(2024.8.7)