2018-01-01から1年間の記事一覧
映画を観に行った。 古い映画だ。おれは座席の真ん中辺りに陣取った。そこらにはそこそこ人がいた。しかしよく見てみると、誰もかれもが老いている。若い奴はほとんどいない。老いているか本を読んでいる。地図を読んでいる奴さえいた。 異様な空間だ。 映画…
文庫本を買った。気まぐれだった。大学に入ってからというもの、いやそもそも高校あたりから本は買わなくなったように思う。わりと頻繁に、大学の書店をぶらつくことはあるものの、結局のところ何も買わずに、店を出る。買うとしても教科書とか勉強関連の本…
周りにはほとんど人はいない。さっきから横を掠めるのは大型トラックに、恐らくは速度超過しているであろう乗用車たちで、とにかくみんな飛ばしまくっている。ビュンビュン。おれは暗澹たる気持ちで、疲労困憊の身体で、ひたすら車道の端っこでママチャリを…
そうやってテストを受け、目の前で、何食わぬ顔で鎮座するラブホに圧倒されつつ電車に乗り、ぼくは家へと帰った。予備校がある辺りはかなり殺風景で、何車線あるのだか分からない、やたらと広い道路が目の前にあって、空を見上げるとドカドカとこれまた重々…
二日目。スマホのアラームで目が覚める。梅田のネカフェの寝心地も悪くないな。シート結構広いし!でも会計をしようと早朝6時頃にレジに並んでいたときにワイシャツを着たいかにも「会社から来ました」みたいな恰好の男女二人組が一緒に(真顔)で入会申し込み…
深夜のラーメン屋にて。「いや、あのですね」「うん」「夏休みも終わるじゃないですか」「うん」「いやね、僕なんか旅したいんですよ」大学生二人が、向かい合って座っている。ズッーーズッーーーーッ「うーんぼくはママチャリで旅がしたい!」「はあ」「な…
ふと思い立った。人間誰しも記憶があって、思い出があるものだと思う。それがある種の特別な感傷を伴えば「ノスタルジック」なものになるのかもしれないし、ありもしない、青空にもくもくとそびえ立つ入道雲に象徴されるような、「よくある」イメージを内面…