日記 3/11

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飲み会の場所を勘違いして、新宿に宿を取ってしまった。チャリを漕ぎ終えたあと、即高校の頃の同期四人で集まって飲んだ。そのうちの一人は一緒に漕いだ同志だ。他の二人と会うのは実に二年振り。しかし、つい最近会ったばかりかのような錯覚を覚える。落ち着いた時間。全てを忘れて、会話に没頭する。卒業からはや八年が経とうとしているが、みんな何も変わっていない。そして、俺の魂の居所はここにあるのだなと再確認する。不安定な思春期を過ごした空間。思想が、人格が最後に完成した異空間。ふらふらのまま、ゴミと等しい新宿という街の宿に帰る。路地では、ネズミが闊歩する。終わっている。マンションの前ではカップルが熱いキスをしている。勘弁してくれ。しかし、なぜ赤の他人のいちゃつきにはこんなに腹が立つのだろうか?

やはりこの猥雑さと喧騒は東京にしかない。大阪には存在しない。大阪は丸い。し、まだ膜みたいなものがある。でも東京は棘そのものだ。痛い。

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チェックアウトして、外に出るとカンカンに晴れている。やはり都会には晴れが似合う。

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とてもいい気分でチャリを漕ぎ、返却し、歩いてそのまま喫茶店に行く。『珈琲ショパン』という店だ。ほんのり木目調の店内に、暖かい照明が映える。ステンドグラスがぼうっと光る幻想的な空間だった。そして結構な音量でクラシック音楽がかかっている。あんまり詳しくないけど、店名にある通りショパンなのだろうか。恐らく、ご夫婦で経営されているのだろう、奥様と思しき方がメニューを置いてくれた。この重厚感よ。東京の歴史全てを背負っているかのような、その重さ。「ホットサンドは一グループ一個まで」との但し書きがあり、ということは名物なのだろうと合点し、ホットサンドとブレンドコーヒーを頼むことにした。「コーヒー」の隣にはとても濃く淹れてある旨の注意書きがある。何もかも重い。良い。この重さにアテられるために、喫茶店に来ていると言っても過言ではない。

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茶店を出る。音楽を聴きたい。天気の良い街なんて、音楽を聴いて歩くしかないのだけど、先週東京に来たときになくしてしまった。俺は何回ここに来るのだろうか。そして、何回イヤホンをなくすのだろうか。歩いて、ヤマダ電気へ行く。途中に釣り堀がある。お昼時のサラリーマンが歩く。やはり別世界だ。日本の中に存在する、別の日本。

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イヤホンコーナーに行く。それにしても、iPhoneからイヤホンジャックが消え失せたことを未だに腹立たしく思う。前はワイヤレスイヤホンだったから、今度は有線にしようと思ったのだけれど。あんな、変換用のにょろっと生えた白い塊なんてつけてられない。しかたなく、ワイヤレスコーナーへと向かう。

種類は豊富、この間三千円のものを買って後悔したので、せっかっくだし良いものを、と思って眺める。六千円くらいのものを適当に買おうとするが、思いとどまって試聴することに決めた。前買った三千円のヤツは、千葉から歩いて大阪に帰ろうとした二年前の三月に、謎のディスカウントショップで買った千円のものより音質が悪かったのだ。おそらく、六千円になったところで大差ない気がする。そして、千円のイヤホンを二年も使い倒したのだから、もう少し良いものを買ってもいいだろう。タダ同然だったなと、思う。

そして、六千円のものは音質が微妙だった。シャカシャカしすぎというか。イヤホンコーナーにはウエットティッシュがあったので、丁重に掃除をしてから耳にはめた。しかし、何もふかずに耳にはめる猛者もいる。赤の他人と耳垢を共有できるその胆力に絶望する。そういうやつが手を洗ったあと、律儀にアルコール消毒をしていたりするものだから、世の中不思議なものである。

結局、一万円以上のモデルを買った。明らかに違う。耳元でライブが始まったみたいだ。しかも、人生で初めてノイズキャンセリングを体験したのだが、衝撃だった。こんなに音楽が、雑踏の中でもクリアに聞こえるとは。世界中全て、色んな場所が俺だけのダンスステージと化す。革命だ。多分、空間の意味がまるっきり作り替えられることを革命と呼ぶのだろう。なんとなくそう思う。

ご機嫌に、俺はイヤホンを耳にはめて歩く。歩いているうちに、ふと「今日は川崎競馬の開催日だったな」と思う。というわけで川崎競馬場にいく。

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今まで園田、姫路、名古屋と行ってきたが、ここ川崎競馬場が一番デカくて綺麗だった。馬場のど真ん中では子供が遊べるキッズスペースがある。馬が走り、おっさんが叫ぶ中で子供が悠々と遊んでいるの、なんかウケる。

ひとまず名物らしき「もつ煮」を注文。暴力的な量のもつがぶちこまれている。

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俺が旅行中に競馬場を訪れているのは決してギャンブル中毒だからではない。競馬場といえども、場所によって雰囲気が全然違う。地方に行ったとき、地元民御用達の飲み屋にでもいくとその土地のありようがなんとなく感じられるように、競馬場もそうだ。「賭け」という、人間の欲望と感情が剥き出しになる空間にしかない、澱、のようなものがある。むちゃくちゃな怒号からしか味わえない土地の風というものが、やはり存在する。というわけで、その風土を感じつつ、あくまでついでにレースに賭けているという次第だ。こう、周りの人間と同じことをすることによってしか得られない、真の理解、みたいなもんだ。

 

ボケが。全部負けたわ。カス。二度とやんね。てかなんであんな苦労してチャリで東京まで行っていま川崎おんねん。神奈川県やぞ。昨日あんなに、血反吐を吐く思いで多摩川超えてゲロ吐きそうになりながら頑張ったのに。あんなに必死に東京都にくらいついたのに、なんで電車乗ってアッサリ逆行してんねん。もはやゴール川崎でよかったやんけ。てか全然当たらんやん。ボケが。

やめよう、競馬。

でも、川崎競馬場の怒号が今の所一番凄かった。次は高知あたりに行きたいな。高知の風を感じに、ね。断じてギャンブルやりに行くわけではない。

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そして、部活のOBに勧められて浅草の『駒形どぜう』へ。どじょう鍋定食を食う。四六〇〇円。高え。どじょうはぶっちゃけ風味が無い。雰囲気代って感じ。ファーストフードかよ、てくらい一瞬でどじょう鍋が出てくる。まあ体験としてはアリかな。

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話は変わるがチャリ漕いで大阪から東京まで来たとき、道中スーパー銭湯に連泊してたんだけど、その魅力にハマった。こう、独特の風情がある。説明がめんどくさいから行ってくれ。ババアが一人でやってる田舎のガチで古くい喫茶店にある趣きが存在する。こう、味があるんだ。行ってくれ。泊まれるスパ銭独特の客の喜ばせ方、もてなし方があり、ある種のテーマパークと化してるんだよな。まず風呂の種類がやたらと多い。あと古い。ゆえに大阪の水春とか、都市部のスーパー銭湯みたく綺麗にして寛がせてカネ取る、というより「オラ!でけえ風呂いっぱいだ!あとなんか遊べるとこいっぱいつけといたぞ!ゲーセンメシ酒アイスなんでもある!漫画もある!テレビも見れる!岩盤浴もつけといた!日焼けマシンもアカスリもマッサージもあるぞ!でかくてプールみたいな風呂も作った!サウナ八個ある!」みたいな、娯楽のドカ盛り定食って感じがする。快楽を詰め込めるだけ詰め込んでみました、みたいな迫力がとにかく愉快。

てなわけで埼玉県の草加健康センターに行ってきた。書くのがダルくなってきたのでまたこんど。

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