素人マッサージおばさん

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姫路に行く。朝起きて何をしようか考える、休日のはじまり。働いているときは休みが欲しくてたまらないのに、休みがやってくると何をなすべきかわからなくなってしまう。家でゴロゴロするのは勿体無い。カーシェアでドライブするのは、飽きた。しばらくいいや。移動するカラオケみたいで楽しいけど。

吉本新喜劇をナマで見る、みたいな絶妙にやったことないことやろうかなと思うけど、3時間は長いなと思って断念。しかしいつか観たい。能と歌舞伎、落語とサーカス、2.5次元舞台も観たい。宝塚と四季は見た。

じゃあ、まあ、やはり残されたのは競馬である。平日は中央競馬は開催されていないので、地方競馬の開催日程を見る。なんと姫路でやっている。調べると阪神梅田駅から特急一本で行けることが判明。フリーきっぷを使えば2400円。行くしかねえ。

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やはり、一人で電車に乗ることがたまらなく好きだ。幸福そのもの。電車が来るのを待つ時間。行き先表示を見た瞬間の胸の高まり。モーターが動き出すときの、身体を伝う振動。飽きてスマホをいじる時間。本を読んでいて、外の景色が綺麗になりすぎたためどちらに集中すべきか迷ってしまうあの一瞬。なにより、見知らぬ土地に連れて行ってくれることが最高だ。人間も動物であるので、移動することに原初の喜びを感じるのだと思う。魂の赴くまま。ただ動く。その悦び。

 

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姫路駅前は整然としている。なによりデカさを感じる。ロータリーに大型商業施設、百貨店。姫路城にアーケード街。古めかしい定食屋もあればピカピカのカフェもある。空間に要素を置けるだけおいた感じ。梅田とも違う。なんだろう。じゃがいもごろっといっぱい並べました、みたいな。駅前をこんなに広く感じることがあるんだ。そんな開放感。山陽電鉄姫路駅とJR姫路駅がまたいい味出してる。JRはケバい。山陽電鉄はひっそりしている。兵庫の西の方かあ、という感慨は特になく、コンビニでサラダチキンを買って食う。あんま美味しくないね。姫路に来たのは三回目。初めては自転車で愛媛に行ったとき。途中ネットカフェに泊まった。昔は突発的にママチャリ乗って長距離移動をしていたんだけど、まあなんかおかしかったんだなと思う。もっと恋愛とか頑張って普通の青春過ごせばよかったかも。まあいいや。過去の話。

それでバスに乗って、競馬場。ボロい。寂れている。しかし、やはりピカピカに整備されたJRAと違って、このボロさが本当に良い。競馬知らない人こそ地方競馬場には足を運ぶべき。枯れかけた昆布みたいな、この渋さよ。昭和大好きとか言ってるマヌケも来た方がいい。馬に轢かれろ。昭和レトロ好きカス大学生は全員競走馬で曳き回した方が良い。話がそれた。

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とりあえず、おでんだ。黙っておでんを食え。まあ、ここだけの話おでんを食わない奴は人生がうまくいかない。冬に食わないやつはもう何をやってもダメ。おでんを食うことから全てが始まる。あと、からしをつけない奴とは絶縁しよう。いや、言い過ぎだな。まあとにかくおでんはうまい。

そして、レース。まあおれくらいになると地方なんて余裕なんよね。

 

 

 

-2000円。やっぱ競馬はカスだ。みんなやらない方がいいし地方競馬場に来る必要もない。おでんはコンビニで買って食え。

 

競馬場から姫路駅までのシャトルバスに乗る。敗者バス。いや、勝者もいるだろうが、やっぱ敗者の方が多いはずだ。いや全員負けておいてくれ、頼む。ギャンブルして負けた奴しか乗ってないバス、ウケるな。異常な空間だ。凝縮された人間しかいない濃縮空間はこの世の稲妻みたいな奇跡だなと思う。駅に着いて、何か食おうと思ってアーケード街をぶらつくが、これがまたバカデカい。そしてマッサージを受けることを思いつく。俺はとても肩が凝っており、マッサージが受けたい。しかしなんだかビビってマッサージ屋には行けていなかった。今日はマッサージ屋に行くことで己の成長を実感しよう。マッサージ屋に行った後の自分と、行く前の自分の差異に、コリが解れていること以外の違いに、想いを馳せてGoogleマップでゴチャゴチャ探して30分ほどで、激安店に入った。

これが全ての過ちである。

人ひとりがやっと通れるくらいの狭すぎる階段を二階に上がると、扉がある。開けるとおっさんがいていらっしゃませ〜と言う。店内にはベッドが七台ほどあったが、マッサージ師と思しきババアは一人だけであり、ベッドに座ってスマホをいじっていた。ダルそうに俺の会計を済ませる。「着替える?」「いや、え着替えあるんですか?」「あるで」従って着替える。ベッドで横になる。

筋肉をじっくりほぐしてくれる至福の60分を想像していたが、現実は素人ババアによる筋肉虐待であった。

揉む、とかではない。グーパンで俺の背中を一定のリズムで「ボコ!ボコ!」とひたすら殴る。ガチで痛い。背骨の周りが痛い。腰に行き、次は脚だがマジ痛い。殴ってるだけやんけ。途中俺の股関節開いておばはんが上乗って足踏みしてた。何言ってるかわからないと思うがおれも自分の身体のうえで人の脚が二本、ひょこ、ひょこと行進していることが理解できなかった。そして極め付けは首だ。サザエさんが泥棒ネコを摘み出す時にやりそうな、いややってるかしらんけどとりあえず首根っこを掴むあのやりかたで「ガシ!ガシ!」と俺の首を掴みまくる。思い出すだけで痛くなってきた。あと肩揉みのとき爪が食い込みすぎて叫びそうになった。もしかしてキレてる?

いや、これ痛いって言えやとという話なんだが、やはり負けてられないという気持ちが湧いてきてしまった。勝つ。殴打には勝つしかない。悲鳴などあげてたまるか。しかし、頭と首の境を鷲掴みにされて引きずられたときは流石にギブしようかと思った。おでこ本当にスライドして取れるんじゃないかと思った。着脱式の額じゃなくてよかったね。

今日朝起きたら身体の筋肉パンパンになってて笑った。5時間水泳したあとみたいになってる。ヒリヒリする。

マッサージにはカネをかけよう。あと競馬はやめよう。

(2024.1.25)