日記(12/10) 賭博

友人と競馬へ。阪神競馬場へ行くのだ。天気は良く、コートを着ていると暑い。気温は20度近くある。

阪急仁川駅前で待ち合わせ。1リットルの日本酒と大量の菓子類を持ってきてくれた。最高だ。こんなに堕落した休日を送るのは初めてかもしれない。

競馬場へと続く通路を歩く。阪神JF(ジュベナイルフェリーズ)。2歳牝馬(メス馬)が走るレース。オッズ(賭け金の払い戻し率)も割れており、つまるところ有力馬は不在である。なかなか予想の難しいレースだ。

 

思えば、ずっと自分に負荷をかけてきた。店を閉め(閉める過程は本当に大変だった。楽しかったけど)、そこからフラフラ、フラフラ中もずっと将来への重圧に胸が詰まり、中国へ。そこで色々あり精神的に不調をきたしてしまった。正直生きてきて一番ドギツかったかもしれない。マジで良く乗り切ったなと思う。周りの人間には平気な顔をしてきたが、平気な顔をさせてくれる人々には本当に心の底から感謝している。マジで。周りの人間に本当に助けられている。ありがとう。

とまあ、ここ最近はなんとか落ち着いてきたわけであり、こうして平和に友と酒をくらい、賭博に身を傾けられる幸福を噛み締める。世界は美しい!晴れ晴れとした空が広がり、駅前には平和な世界が広がる。ちょうど初めて競馬をしたときもこうして駅前で待ち合わせたなあ。時は流れゆく。

競馬場では日本酒フェスなるものが催されており、内容は1杯100円で日本酒が飲めてしまうという悪魔的なものだった。1000円分の10枚綴り券を買うとさらにオリジナルのお猪口がもらえる。JRAのロゴも入っており、記念品としては最高だ。入場者特典で入浴剤も貰えた。

世界は美しい!

f:id:kirimanjyaro7:20231212232026j:image

試しに適当に1レースやる。データを分析し、パドック(馬が周回するスペース。当日の馬の様子を見ることができる)をみて、直感で馬番1の馬を選ぶ。

f:id:kirimanjyaro7:20231211234855j:image
f:id:kirimanjyaro7:20231211234903j:image
f:id:kirimanjyaro7:20231211234844j:image
f:id:kirimanjyaro7:20231211234849j:image

 

最後スッと伸びて1着。

世界は美しい!

軽く1000円勝ち、上機嫌。適当に広場でカンカンの日光を浴びながら日本酒を呑むという"休憩"をして、レースを続ける。

その後2レースやり、結果は+1200円ほどに。ここからはメインの阪神JF。だんだんと酔いが回ってきて正常な判断ができなくなる。そしてアルコールによる酩酊と日光浴によるセロトニン分泌、賭博によるアドレナリンにより今まで味わったことのないガンギマリ状態になる。ヤベェ…。適当に③「キャットファイト」の単勝を5000円分購入。名前だけで決めた。牝馬戦だし・・・。名前で買ったのは、この間の文化の日のレースで「カルチャーデイ」という馬が15番人気だかの低人気でなんと1着を果たしたところにあやかろうというのもある。せや名前で買えばんんや。データ分析予想だとかトラックバイアス、パドックだのごちゃごちゃ言っているが、結局は競馬など賭けであり、名前や直感で決めるのは正しい態度であるとは言える。

ただ、この日当たった2レースとも過去データを分析し、有利な種牡馬や騎手成績に基づき適切なリスクヘッジを行い、的中することができた。一見、予想のしようがないように見えても、やはり法則性は存在し、そこを発見することでかなりの確率で当たり馬券を手にすることは可能だ。

例えば、とある馬の子供が、なぜか阪神1200mコースをやけに勝ちまくったりする。勝率が飛び抜けて高いのだ。理由はわからんがよく走るので、結構当たったりするわけ。

話は逸れるが、2022年から23年、ちょうど25歳の頃、とにかく将来の行き詰まり感がものすごかった。何がしたいのか、何ができるのか、考えれば考えるほどわからなくなる。やりたくないことはとことんやりたくないが、かといってこれといって全てをささげたいと思えるものもない。そうして悶々とし、毎日スマブラを何時間も、時には朝までやりこんでいたりしたのだが、特定の距離で1着になりまくる馬が、別の距離、例えばたったの200m伸びただけでからきし走らなくなる、というのを見ると「ああ、俺にも適切な距離があるのだな。芝がいいのかダートがいいのかもわからんしな。のんびりやろう」という気持ちになり、かなりラクになった。そう、自分の最適距離適正を探ればいいわけで、つまり走って試行錯誤するしかないのである。頭で抱えて悶々とすることに意味などない。

メインレース、阪神JFのパッドクがはじまる。計18頭の馬が順繰りに歩いていく。さすが最高峰のG1レース、どの馬も仕上げはバツグンだったが、特に7番の馬がなんだか、「光って」見えた。そしてなぜか「コイツ、勝つ!」と確信し、その場で単勝5000円を購入。本当は6番とも迷っていたのだが、なんだか無性に7番が勝つ気がして仕方なかった。

15:40。ファンファーレが鳴り響き、歓声と共にレースが始まる。「光って」いた本命7番アスコリピチェーノは無事ゲートを出発したが、先頭に立っているわけではない。2コーナー、3コーナーと馬達は駆け抜けていく。どこだアスコリピチェーノ・・・?見えない。先頭集団にいるわけではなさそうだ。と、最終4コーナーを曲がり馬群は最後の直線へ。やはりみえない・・・。とりあえず7番が先頭ではないことだけは分かる。ああ、ダメかあ。せめて3番だけでも来てくれないかなあと諦めかけていたそのとき、群れの中からニュッと黒い馬体が突き抜けた。

 

「7」だ!キタ!!いけいけいけいけと叫んだのか心の中で喚いていたのかはもう忘れてしまったが、ニョキニョキ伸びて結局トップでゴールした。もう、歓喜歓喜、さらに同行者も的中、2人で恐らくは3度ほどグーでハイタッチをした。

やはり、人間勝たねばならぬ!最高だ!と言い合い、意気揚々と日本酒売り場へと向かった。

「祝杯上げようや!」

勝ったあとの酒はうまい。今は働いておらず、バイトが始まるのは来週なのでこの勝ち金で年末を乗り切ることになる。前回のジャパンカップでも勝ち、一応連勝となった。ああ良かった。まあなんとかなるな。しかしこれ当たっていなければ・・・などと考えかけたが、そんな思考に意味はない。過去を振り返ったり、別の可能性を想像してはいけない。それは自分を縛ることになってしまうから。意外と、目の前のことだけを見るのは難しい。しかし、今はそれを行わねばならぬ時期であり、ある意味ポジティブな視野狭窄に陥らねばならない。

10枚綴りのチケットは5枚も余っており、陽も落ちゆくなか、上機嫌でひたすらしこたま日本酒をかっ喰らったのであった。

こんな楽しい競馬、なかなか無いであろう。

次は年末グランプリ、有馬記念である。

2023.12.10