6日間無計画北海道周遊紀行①-東京移動編-

高2の頃、青春18切符で大阪から北海道まで行く計画を立てた。授業中ひたすらダイヤを調べてみるとどうやら丸2日かかることがわかった。やってみるか。行きてえ。青函トンネルくぐりてえ。

 

と思っていたけど結局やらなかった。やらなかった理由は覚えていない。でも、とにかくやらなかった。

 

あれからはや6年。本州と北海道を結ぶ寝台列車はほぼ消え去り、北海道新幹線の開通によりもはや18切符のみで津軽海峡を跨ぐことは不可能となった。そしてJR北海道の経営が芳しくなく、バコバコと路線が消えゆく。駅が消える。おれはとてつもなく後悔した。乗ればよかった。なんで乗らなかったんだろう。

 

というわけで今年の夏こそは何がなんでも乗る。決めた。北海道の列車に乗りまくる。正直モチベーションはほとんど無い。ぶっちゃけめんどくさい。家で寝ときたい。乗るのダルい。でも乗るしかない。無理矢理にでも乗る。ここで乗らなきゃダメだ。そんな気がする。自分に鞭打ち、おれは諸々の準備を整えたのであった。

 

-1日目- 〈京都-東京鈍行移動〉

 

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さて、行くと決まればまず決めねばならないのは日程だがこれは8月中がいい。夏の北海道って感じがするからね。やっぱ夏がいいじゃん。しかし、何も考えていなかったので8/30にバイトのシフトが入ってしまっていた。うーん。参ったな。

 

 

飛ぼう。

 

 

まあ、飛ぶのは迷惑が掛かるからいっそのこと辞めることにした。お金を稼ぐ別のアテも見つかったし。社員に辞めるLINEを送ってこじれるのも面倒だし電撃的に退職することにした。バイトの制服をビニール袋に詰め、事務所のドアノブに吊り下げ、「お世話になりました。制服はドアノブに吊るされています。」というLINEを送ってバイトのグループLINEを抜けた。そうしたら鬼電が掛かってきたが時すでに遅し。なんせおれは新快速に乗って米原に向かっていたのである。バイトのこじれた上司に比べると琵琶湖の景色はのどかであるな。景色を見つつ掛かってきた電話をのんびりと着信拒否リストに入れ、やたらと入ってきたメールを読まずにゴミ箱に入れ完全削除したときにふわっと自由を感じてしまったのは想像に難くないだろう。電車に乗って移動していると本当に自分がしがらみから逃れているような気分になる。

 

列車はいいぞ。

 

そうこうしている間に米原に着いた。

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綺麗な緑。

 

旅には金がかかる。食費はもちろんのこと移動費、そして何より宿代が負担になる。今回は12,000円で6日間北海道を周ることができ、しかも特急にも乗り放題という破格チケットを知人に手に入れて貰っていたので(感謝!)、食費はどうにかするとしてあとの懸念事項は宿代である。たとえば1泊2000円の格安宿に泊まったとしても6日間では12,000円となる。これはイタイ!切符と同じくらいすんじゃん。高い!勿体ない!はてどうすればいいのだろうか?答えは簡単である。

 

野宿。

 

そう、野宿しかないのである。なに、夏の北海道なら気候も安定しているだろうし野宿なんて容易いだろう。いけるいける。ただ、もう一つ問題があった。手元にテントと寝袋が無い。正確に言えば寝袋はあるがデカすぎて持ち運べない。テントを買う金も勿体ない。どうすればいいのだろうか?これも答えは簡単である。

 

テントと寝袋無しの野宿をすればいい。

 

かくしておれはテントと寝袋無しの野宿を敢行するに至った。まあ、夏だしなんとかなるさ。小さなリュックサックには着替えと100均で買ったレジャーシート、防寒用の長袖2着を入れて出てきた。ありえないほど軽い。本当にこれで6日間凌げるのか?少しは不安になりつつもビーサンを履いて家を出た。近所のローソン行く感覚で北海道くらい旅できることを証明してやる。

 

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今回の全装備。後々ビーサンで痛い目を見ることになる。

 

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野宿全装備。後々痛い目を見ることになる。

 

米原から乗り換え岐阜県は大垣へ。大垣から愛知県の豊橋へ。豊橋のホームから見える景色はやたらと綺麗だったな。

 

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豊橋から浜松へ向かい、浜松でホームライナーに乗った。この区間、18切符だと各駅停車しかなく、座席もロングシートというベンチのような通勤電車でよく見るイスなのだが、ホームライナーを使えばなんと結構な数の駅を飛ばしてくれる。いわば快速のようなもの。こいつに乗ればゲロ長い静岡区間が少しは楽になるというわけだ。しかも座席も2人掛けのクロスシートでお値段なんと330円!乗らない手は無い。さて、乗り換えまで時間があったのでマクドに行ってマクポを食う。嗚呼、マックポーク復刻しないかな、、、小学生のときはひたすらあれ食ってた。マックでDSしてタダでシェイクとか飲んでた。

あと本屋を見つけて時刻表を買った。今回は縛りとして、

①グーグルマップを一切使わないこと

②ネットの乗り換え案内で検索しないこと

この2つを自分に課した。こっちの方が楽しい。自分の感覚磨いて旅した方が絶対おもしろい。グーグルマップを旅先で使ったことは何度かあるのだが、完全にアプリにのせられて移動しているという感じがしてとても不自由だった。ググって何でもわかって迷いません、そんな合理性は1人旅には一切必要ナシ。おれは色々探検して迷って賭けで選択しておもしろく動きたい。なのでスマホくんはもっぱら写真撮影とTwitterをするマシーンになった。そもそも紙の時刻表をめくるのはすこぶる楽しいのである。列車旅するなら絶対紙の時刻表買った方がいい。その魅力はまた追々。

 

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ホームライナー静岡行。


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コンパス時刻表。こいつには今まで何度も世話になった。必需品。財布落としてもこいつは落とすな。

 

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ロングシート区間に突如煌々と現れるクロスシート。もはや拝みたい。

 

静岡で降りて今度は熱海へ。ここらへんから体力がやられてくる。何も考えられない。ひたすら自分の膝を見つめてた。電車もやたらと駅に停まる。長え。走り出したらまた停まる。長え。。。

 

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長い。

 

やっとのことで熱海に到着し、東京行の電車に乗る。「東京行」の文字をすがるような思いで見つめ、たまに自分の膝を見つめる。東京行、膝、東京行、膝……………延々と繰り返していると東京に着いた。あー長かった。

 

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着いたのは深夜0時前。

 

とりあえず丸の内側から出た。デカいビル。まばらな人。都会って感じだなあ。とてつもなく唐揚げが食べたくなったので定食屋を探す。にしても綺麗だな。飯屋は無さそうだ。と、歩いていたらなか卯を発見したので竜田揚げを胃に放り込む。

 

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デカい。

 

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竜田揚げめちゃ頼んだ。

 

さて、今度は宿探しだ。駅前に広々とした広場があったのだけど、開放的すぎて落ち着かない。それに警備員もいる。ケチな世の中である。東京オリンピックまであと○○○日とかいう電光掲示板もあった。あと隣の公園からやたらと風鈴が鳴りまくっていて眠れそうになかった。これが首都の風情か…。

 

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しばらく歩くと地下への入り口みたいなところを見つけた。階段があって周りを壁に囲まれているしここなら安心して眠れそうだ。早速レジャーシートを広げて寝てみる。

 

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脚が収まらない。場所を変えよう。

 

 

少し歩いたところに都営バス停があった。見てみると24時過ぎでもバスが来るらしい。首都こわ。探索してみるとバス停の隣に像が立っていた。壁と像の間に微々たるプライベート空間が生まれていたのでそこで寝ることにした。早速再びレジャーシートを広げる。

 

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絶対長さ足りてへん。試しに横になってみる。脚が出る、、、。寒い、、、。仕方なく持ってきた長袖を敷き詰めてみる。意外と快適になった。リュックを枕に、就寝。

 

しっかし都内のど真ん中で寝る開放感は凄まじい。周りビルばっかでビュンビュンタクシー走っとるのにこちとら地面で寝とるんやで。デカくて抗えないものにひっそりと反抗しているような気になって謎の満足感があった。寒いけど。いやあ、野宿いいなー。そうだこれからいろんな所で野宿して野宿マップ、野宿同好みたいなことしようかな。ガハハ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このときはまだ野宿を楽しむ余裕があったんだよな…。

(つづく)

 

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東京駅のトイレずっと開いてたから歯磨きさせてもらった。あと駅の目の前で何も敷かずに堂々と寝ている旅行者風のおっさんが何人か居た。貫禄がある。おれもああなりたい。