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いまめちゃくちゃトイレに行きたい。ということで行ってくる。

 

行ってきた。

 

最近なんやかんやで一人暮らし始めた。エアコンついてない。あるの扇風機だけ。シェアハウスというやつ。でも特に交流は無い。みんないい奴。ほとんど喋ったことないけど。

 

大家にバイク停めたいって言ったら、別の家の軒先に停めてええよと言われた。ということで停めて3日ほど放置。雨ざらしになって錆び錆びになるのもいやなのでバイクカバーを買い、掛けようとしたらシートにボコボコ引っかき傷があった。うーん元からあったのかなあ、思い過ごしかなあと思いつつ、なんとか忘れようとしてその場を後にする。こういうときになるといっつも日和ってしまう。こんな傷に気が付かずに乗り続けるわけがない。絶対何かしらによって後から付けられた傷なのに、元からあったもんだ、思い過ごしだと言い聞かせて八畳の薄暗い畳の部屋に戻って本を読む。

 

集中できない。読み進めても、頭の中で喋ってる文章がいつのまにかちょっとボロくなったバイクのシートに置き換わってる。論文書くためには二項対立が大切で、論題と外部の間に線をだれかのいたずらかなあ。いたずらされたのかなあ。だとしたら嫌だなあ。ネコが引っ掻いたのかなあ。というわけで次の文章はフェミニストとして有名な方のもので非常にいやあネコなわけ無いよな。でもわざわざあんな細かい傷つけたりするか?わざわざ。おれが大阪ナンバーだから?コロナの嫌がらせ?置いた場所が邪魔だった?さて、ここでの対立項は何かというと…

 

スマホを見てた。気づいたら本なんてほっぽり出してスマホを見ている。Twitterというやつ。ひたすらスクロールする。何も読んでいない。ただスクロールをする。

 

一時間くらい経った。

スクロールしてる。スクロール、スクロール。何も読んでいないし何も考えていない。ただ、スクロール。だんだんと頭がクラクラしてくる。なんだかキツイな。何がキツイのか。スクロール。

 

たぶん2時くらいになった。

寝たいなあ。バイク、あの傷治るのかな。てかなんで起きてんだろ。寝たいな。寝ないけど。寝ないけど寝たい。スマホ見てたっけ。覚えてない。あたまの骨の中にバイクのシートの傷がどっかり入っている。頭を触ると髪の毛がある。髪の毛をより分けると頭皮に行き当たる。掘ると骨が出てくる。もっと掘る。バイクのシートの傷が出てくる。骨と脳味噌の間にバイクのシートの傷が入ってる。どうしようかなあ。なんてことも考えてない。考えているようで考えない。寝るようで寝ない。解決しようとするようで解決しない。動こうとして動かない。畳の部屋の中で、色んなものに挟まってた。別に痛くはないけど、押しつぶされないけど、ただ、挟まってる。

 

 

 

 

 

 

おれの部屋には椅子がない。座椅子が欲しい。座椅子座って金魚の上。水槽食べて農園出した。サブカル履いてクソ川飲んで猫避けた。座椅子が欲しい。すぐに腰が痛くなる。すぐに腰が痛くなるからすぐに横になる。すぐに横になるからすぐに寝る。起きる。腹が減る。あるものを食う。なければ買って食う。作りたいけど作らない。何かに挟まってる。

 

大家に頑張って相談した。バイクの傷に関して何か知らないか、住んでる人に聞いてみてくれないか、と頼んだら一言。

 

「これは猫ですね。」

 

そっか。やっぱり猫か。おれはまちがってなかったんだな。そりゃ猫だよ。猫がやったもんな。人間なわけない。猫に決まってる。だってだぜ、写真送ってちゃんと文章作ってLINEで送って、返ってきたのは、これは猫ですね。そりゃ猫だよ。前置きも留保もない。これは、猫だ。

 

大家曰く向かいのおばちゃんがめちゃくちゃ親切らしいから何か知ってるか聞いてみろ、とのこと。わかった。親切だ。シートなんてすぐに直せる。そう言ってくれた。優しいな。被害届出すなら出せばいい。いいアドバイスだ。これは猫だし向かいのおばちゃんは親切だしシートはすぐに張り替えられる。いいことを言う。

 

別に大家はなんもわるくない。当たり前。とりあえず明日は外に出て人とたくさん話すことになる。部屋にエアコンついてないけど今は扇風機回ってる。電気は薄暗いけどスタンドの明るいLEDが部屋を照らしている。たかだかスクーターの小傷。元から数万円で買った中古だし、大したことない。盗まれるよりマシだしそもそもあんまり乗る気も起きてなかった。ウーバーイーツでも始めようかな。バイク乗って。それでお金稼いでまた何かいいやつ買えばいい。そう、それでいい。だって、これは猫なんだから。今は集中して本も読める。スクロール、スクロール。何にも挟まれてない。頭の中にはちょっとボコボコになった黒いシートが挟まってる。だってこれは猫なんだから。

(2020,5/16)