18きっぷ、最高

旅行記、毎度凝ろうとしすぎて結局書き切れなないので今回は簡潔にしるす。写真も載せない。

 

今回は山陰(鳥取島根山口)を通って九州に入り、熊本に行きSLに乗り、今度は山陽(山口広島岡山兵庫)を通って帰ってくるという、5日間の旅だった。18きっぷ旅は今まで何度も行っているのだが、5日分使い切って行きも帰りも鉄路、というのは恐らく今回が初めてかと思う。帰りはフェリーだったり、4回分しか使わなかったりすることが大半だった。

 

まあ、グダグダ書いても仕方がないので言いたいことを言うと、みんな是非とも18きっぷ旅を1度やってみてほしい。この自由を味わってほしい。今回お店を閉めてまでやった訳だけど、行ってよかったと心の底から思える。

 

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ずっと日常を過ごしていると、息が詰まる。変化の無さに気が狂いそうになる。毎日楽しくやらせてもらっていたのだけれど、なんだか心の奥底では「なんだかなあ」という想いがずっと燻っていた。うまくこと言葉にはできないけれど、なんか、なんだかなあと、ふとため息をついてしまうような感じ。まあ、そうは言っても閉めてしまうのはいつも来てくれるお客さんに申し訳ないし、まだ開店したてだからとりあえず開け続けないといけないのは至上命題とも言えるんだけど、そんな風にずっとなんだかなあと思っているとちょっと、ほんとうに、京都を飛び出したくなった。用事があって葛野大路四条あたりをママチャリで走っていたとき、青空が広がり蒸し暑くて最悪の気候の中、俺はふとチャリを停めて休業を宣言した。まあ、大抵の物事はこうやって急に、唐突に決まるものだろう。その時はまだ18きっぷを使ってどこかに行くのだとは考えていなかったのだが、とりあえず、一旦止まった方がいいなと、そう思ったのだった。

 

さて、休みは決まったけれど何をするかは決まっていない。実は去年の夏に山陰を鈍行で行こうと考えていたのだけれど、スケジュールが噛み合わなくて挫折した。だからなんとなく、山陰に行こうかと思ったし、最近琵琶湖を走るSLが廃止になったと聞きかねてから乗りたかったSLにも乗ろうと思ったのだった。調べてみると九州の熊本から佐賀にかけて「SL人吉」というのが走っているらしい。まあ、そうだな、乗るかあ。特に物凄く乗りたい、という気分でもなく、通りがかった牛丼屋に入るみたいに、SLに乗ることに決めた。それじゃ、山陰を通って九州にいってSLに乗るのがなんだか一番良さそうだし、夜にママチャリ駆って二条駅18きっぷを買ったのだった。

 

という訳で、9/2に出発。といっても5時とかの始発に張り切って乗るのではなく、目が覚めてのんびり片付けをして、家を出たのは10時すぎだった。バスを乗り過ごし、二条に行くつもりが京都駅に行ってしまったりして割と最悪の始まりだったけれど、11時半頃に山陰本線に乗り込んだのである。

 

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昔サークルの合宿で降りた駅を懐かしんだりした。天気は雨だったし、特にテンションも上がらない。福知山に付き、つけ麺を食べる。るり。

 

ここまではまあ、京都だしそんなに旅情も無かったんだけど、豊岡に行ったあたりからノってきた。こじんまりとしたショッピングモール。ロクな本置いてない、本屋。空は開けていたし、変なパチンコ屋がまた美味しい。閉店していて廃墟みたいなフードコートに溜まる中高生。

 

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時刻表とメモとペンを買う。盛り上がってきたな。

 

あとは、まあぶっちゃけ車内で爆睡してたから思い出ナシ。気が付けば鳥取に着いた。メシ屋を探すが、ドン引きするくらい店内に人がいない。百席くらいはありそうな居酒屋に4人くらいしか人がいない。異様の一言に尽きる。繁華街チックな場所をグルグルして、変な世の中になったなと思いつつらーめん屋を見つけてウキウキして入るも、正直微妙でめんまとチャーシューがダメな酸味を放っていてこれ大丈夫じゃないやつだなって思いながらゲンナリしてホテルまで歩いたら、フロントでいきなり謝罪されて、カプセルを予約したのにダブルルームになった。

 

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意味不明だったな。しかし1人でベッドが2つの所に寝ても全く落ち着かない。おれは今家がないんだけど、家なき人を泊めてやりたかったな。

 

まあ、適当に目覚めて2日目、この日は特になんもない。災害で列車が不通になり代行バスが走っていたから乗った。降ろされた。「次の列車、100分後です。」マジかよ。20人くらいが、駅で、ソワソワして、ただ、100分過ごす。これあれだ。ライアーゲームで見たやつ。謎におっさんと「これやべーだろ」みたいな話で盛り上がる。世代を超えた18きっぱー。まさかの益田でその日は終了。「駅前ビジネスホテル」というそのまんまの名前のホテルで泊まる。趣しかないホテルで、テレビがありえないほどちっこい。それにしても大学一回生のときにこの益田に合宿免許に来たんだけど、4年越しにまた訪れて、泊まることになろうとは。みんなMランド益田校でググってくれ。マジでヤバイ教習所だった。おれは楽しかったけれど、ほぼ洗脳だったのかもしれない。またいつか、この話もできればしたい。

 

3日目、益田でダラダラ寝て11時にホテルを出る。ナメすぎだし、次の列車が13時半という絶望。本屋にいって小説を買って喫茶店でメシ。最高の時間。コーヒーうまい。まあ電車乗って、つつがなく熊本に到着。着くのは無理かと思ったけどなんとかなった。まあ、なんとかなるもんだ。熊本市電に乗ってネットカフェへ。京都河原町みたいな繁華街だったけれど、店ほぼ閉まってる。恐ろしい。キャッチはたくさんいたけど、どこの店の人間なんだ。ほぼしまってるのに。ちょっと怖かったけど見た目もあってか話しかけられることはなかった。松屋で牛丼をテイクアウトして、ネカフェへ。キングダムにどハマりする。おもろすぎる。続きが読みたい。まだ9巻。

 

4日目

最高のSL体験。ぶっちゃけ泣いた。ほんとによかった。80くらいのおばあちゃんが、SLの写真を嬉しそうに撮っていて、ツーショットの記念写真も人に頼んで撮ってもらっていて、その感じを見て、泣いた。鉄道ってこんなに人に幸福を与えられるんだ。きっとこのおばあちゃんも若い頃に何度も乗ったんだろう。大正から走る、ハチロク。目の前にそびえ立つ、鉄の塊、煤、石炭が燃える匂い。蒸気の音。歴史そのものだった。ずっと、人々に愛されてきたんだろう。300万キロを走った。みんな、ずっとSL(通称:ハチロク)の周りで写真を撮っていた。家族との別れを惜しむかのように。回送され遠ざかっていくアイツをみんなで見送り終わったあとの寂寥感。もう、2度と会わない人がほとんどだろう。みんな、ほんとうに心の底から楽しそうだった。いつか、自分もこうして他人を幸福にしたい。心からそう思った。

ハチロクロスによってウダウダしていたけれど、門司港行きの列車に乗る。門司港駅、建築がたいへん良かったのだけれど外を歩くと映え!デート!名物グルメ!の主張で萎えた。めっさカップルおる。俺はファミマでつくね串とか買って食った。独り男性が固まってる謎のゾーンがあった笑ってしまった。笑ってしまいながら、俺もそこでつくねを食うのだった。うまい。

 

関門海峡をまた列車というのは芸がないのでフェリーに乗ったが大正解。みな、乗るんだ。クッソ揺れるし水しぶき飛ぶしバカ飛ばすしあんま安全そうじゃなくて最高だった。そこからバス乗って下関、グォーッと岩国まで。ネカフェでキングダムを読む。

 

あ、あと宇部新川行った。店はやたらとあったけど人がいない。あとスズメがバカうるさい。スズメの鳴き声がデカい街だった。

5日目、京都へ帰る。岩国のカフェでモーニングコーヒー200円をテイクアウト。うまい。コーヒーのうまさが分かるようになってきた。途中呉線に乗ったけど、また代行バス。海沿いを走った。そこから岡山。岡山駅デカすぎる。イオン行って本屋マクド行って、ココイチへ。やたらとメシを食った。ココイチでもキングダム読む。キングダムが読みたい。岡山からは新快速とか乗って一瞬で京都。新快速速すぎてキモい。やべーよ。新幹線いらなくね?

 

まあ、こうやって大きな流れに身を委ねるの、大事だなと思った。日常の些細さにやられちまいそうになるけれど、海は広くてデカくて山もやたらと緑で結構人間いっぱいいて知らないこともたくさんあるんだ、というのを忘れないように生きねば。結論、バカデカく生きるしかない。バカデカい目標を持って、ドデカくやっていくしかない。いま、とてもバカデカくていい気持ちだ。みんな、18きっぷを買おう。次は冬発売だ。

(2021.9.6)